平成11年家計調査の結果について





 家計調査は、一般世帯の毎月の収入と支出を調査することにより、国民の消費支出動向を把握することができ、国内総生産(GDP)や経済見通し等の基礎資料として利用されています。平成11年は各都道府県の県庁所在市を含め168市町村で実施され、石川県では金沢市と志賀町が調査対象となりました。
 この程、平成11年の家計調査の結果がまとまったので、全国の県庁所在市と金沢市を対比させ、その特徴と最近注目されている情報通信支出について取り上げてみたいと思います。




















             


1 10大費目からみた金沢市の特徴

表1 10代費目別年間支出金額と順位
 平成11年の10大費目別年間支出金額でみると、金沢市は、「食料」が全国第1位、「光熱・水道」、「被服及び履物」が第2位、「教育」が第4位と高位になっています。
 「食料」を更に細かい分類で見ると、「菓子類」が全国第1位、「魚介類」が第2位、「穀類」が第3位となっており、「外食」の11位を除きすべての品目で10位以内となっています。
 また、情報通信支出に含まれる「交通・通信」は第22位ですが、「通信」だけでみると第4位となっています。(表1)











             

(1) 全国第1位の「菓子類」

 「菓子類」を品目別の支出金額でみると、「ようかん」と「まんじゅう」を除く「他の和生菓子」や「スナック菓子」、「チョコレート」、「キャンデー」がいずれも全国第1位、「アイスクリーム・シャーベット」が第2位、「カステラ」が第4位など9品目で10位以内に入っています。
 特に「他の和生菓子」は全国と比較すると2倍の金額となっているのがわかります。この理由として、金沢が藩政時代から京都や松江と並んで茶道が盛んで、和生菓子が使われていることが一因と考えられます。(図1)


図1 菓子類の品目別年間支出金額







             

(2) 全国第2位の「魚介類」

 次に、第2位の「魚介類」のうち鮮魚についての支出金額は全国第1位でありますが、どのような魚を多く購入しているのか品目別に支出金額をみてみると、「ぶり」、「かれい」、「いか」、「いわし」が第2位、「かに」が第3位など10品目で10位以内となっており、特に「かれい」、「ぶり」、「かに」は全国と比較して約2〜3倍の支出金額となっています。(図2)
 これは、本県の地域的特性として、能登半島という日本海に突き出した半島があり、好漁場や良港に恵まれていることから、比較的新鮮な魚が手に入りやすいことがあげられます。また、「ぶり」や「かに」は贈答や土産品として利用されており、こうしたことからも消費金額が大きいと思われます。



図2 鮮魚の品目別年間支出金額
                            



2 急増した情報通信支出

 近年、インターネットや移動電話の普及、パソコンの低価格化などにより情報通信支出が大幅に増加し、今後の動向が注目されています。
 情報通信支出(※)についてみると、平成10〜11年にかけて急上昇しているのがわかります。家計調査以外の統計資料を用いてみてみると、本県でもここ数年で携帯電話・PHSなどの移動電話の加入数が著しく増加して、現在では、固定電話を上回っており、今後も更に増加していくものと思われます。
 また、情報通信支出の増加に伴って「電話通信料」も増加していることから、今後の消費支出に占める「電話通信料」の金額は、一般家庭における情報通信サービスの利用状況を計るバロメーターとして注目したい数値です。(図3)


図3 情報通信支出と携帯・PHS等加入数の推移

(注)情報通信支出、電話通信料については1〜12月各年の金沢市の数値(家計調査年より)、固定電話、携帯・PHS等加入数については各年度末の石川県の数値(1)

(1)資料 郵政省「郵政行政統計データ 情報通信編(平成元年〜10年度)」
      北陸電気通信監理局「北陸3県における移動電話・PHSの普及状況」

(※)郵政省「通信白書」に使われている「情報通信支出」に基づき「家計調査年報」の以下の品目の合計を「情報通信支出」としました。
  
 通信機器、テレビ、ステレオセット、テープレコーダ、ビデオテープレコーダ、パソコン、ワープロ、ビデオカメラ、他の教養娯楽耐久財、テレビゲーム、オーディオ・ビデオディスク、電話通信料、放送受信料、オーディオ・ビ  デオ未使用テープ、オーディオ・ビデオ収録済テープの支出金額の合計