■ 国民経済計算【こくみんけいざいけいさん】

 国民経済計算(SNA:System of National Accounts)は、一国の経済の状況を体系的に記録するマクロの経済統計体系である。我が国は、自国の国民経済計算の体系として、昭和43年(1968年)の国際連合において採択された68SNAを採用し、国民所得勘定を中心に、産業間の取引を表す産業関連表、カネの動きを示す資金循環勘定、海外との取引を示す国際収支表及び国の資産・負債の状態を示す国民貸借対照表の5勘定をとり入れ、体系的・整合的に統合してきた。しかし経済社会が大きく変わり、政府の役割の変化、通信・コンピュータ等に代表されるサービス活動の重要性の増大、金融市場の複雑化が急速に進んでいることなど、時代に対応した国民経済計算体系を整備する必要が生じてきた。このため、平成5年(1993年)に25年ぶりに新しく国連が提示した93SNAにおける勧告に沿って、表彰形式、項目の名称・概念、主要集計量の一つである国内総生産(GDP)、上記5勘定の整合性の確保等いくつかの変更がなされた。
  我が国における官庁統計としての国民所得統計は、内閣統計局が昭和3年に「大正14年における国民所得」をまとめたのが最初で、その後、昭和5年、10年と国勢調査年について推計されていた。戦後、経済安定本部(現内閣府経済社会総合研究所)へ移された国民所得統計は、昭和28年に「昭和26年国民所得報告」として閣議報告され、以来毎年公表されるようになった。その後、国連を始めOECDや諸外国における推計基準の改定など国際的動向を受け、我が国の国民所得統計も改定を重ねてきたが、昭和53年には全面的に68SNAに切り替えられ、平成12年に93SNAへと移行した。
  93SNAに基づく国民経済計算は、68SNA同様、フロー編とストック編とに大別され、更にそれぞれが勘定(統合及び個別)、系列表及び付表に区分され表章されている。
  この93SNAの計数は、原則として平成2〜14年(年度)を推計期間としている。ただし、支出面から見た国内総支出(GDE)である「主要系列表1 国内総支出」については、昭和55年から平成元年までの暫定的な推計結果を併せて公表している。平成元年以前の計数については、今後別途内閣府経済社会総合研究所において遡及推計を行い早期にその推計結果を公表する予定である。国民経済計算の推計には、毎年末に当該年度終了後8か月遅れで公表される年度、暦年及び四半期別の確報のほか、国民経済計算の一部である国民総支出及び雇用者報酬に関して四半期ごとに当該四半期終了後約1か月と10日遅れで公表される四半期別GDP速報(QE)とがある。なお、国民経済計算は数多くの基礎統計を総合的に加工して推計されるものであるので、確報を公表した後においても、新しい統計情報が入手されれば、既公表の計数が変更されることになる。通常、確報時には、確報対象年度の前年度の計数が必ず修正されるが、さらに、5年ごとに公表される産業連関表及び国勢調査などが整備されたときにも、計数が遡及改定されるとともに、実質系列の基準年が改定されることになる。最近では、平成12年10月、93SNAへの移行と同時に平成7年基準改定も併せて行った。
 (出典) 総務省統計局刊行、総務省統計研修所編集「第54回 日本統計年鑑」

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