2004年3月 フリーターの経済的損失は如何ほど? ― フリーターの厳しい現状
民間シンクタンクの試算によると、2010年には定職を持たない、いわゆるフリーター人口が476万人と2001 (平成13)
年より59万人増えるとの結果が出ました。また、彼らがフリーターであることの経済的損失は税収1.2兆円、消費額8.8兆円、貯蓄3.5兆円になり、消費の抑制が名目GDP
(国内総生産)を1.7ポイントも押し下げるとの数字も出ています。
いまや若年人口の5人に1人がフリーターともいわれ、平均的に所得の低いフリーターの増加が社会に及ぼす影響は無視できないものとなっていますが、当初の「将来の目的達成の為に定職につかず、生活のためにアルバイトをしている若者」といった自発的フリーターではなく、就職そのものをしたくない「現実逃避型」や就職難等による「でも・しか型」などといった非自発的フリーターが増えているといわれています。
国等の公共機関はフリーター支援として職業訓練の実施、専門学校で在籍する分野に関連した職場のアルバイト就業を単位として認める「日本版デュアルシステム」の導入、高校生の親に対する就業意識を高めるセミナーの開催等、様々な方策を打ち出していますが、まだ手探りの状態といえそうです。
しかし、企業の側にもこのところの景気回復傾向から新規採用を増やしており、特に従業員数500人未満の事業所の65.7%が25歳未満の若年フリーターに対して「いい人材がいれば採用したい」と潜在的採用意識を持っていることが、東京商工会議所が2003
(平成15) 年11月に行った新卒者等採用動向調査にも表れており、最終的には本人の就労意思と目的意識に委ねられそうです。