2006年6月 情報管理の落とし穴
近年、個人情報保護法の制定のもと情報管理の必要性が叫ばれていますが、それを尻目に個人・法人を問わず情報流出が問題になっています。その実態は外部からのウィルス攻撃によるもののほかに職員などの情報持ち出しが原因となる事例も多発しています。 日本経済新聞のアンケート調査によると、「自分が将来的にデータ流出の被害を受けると思う」人の割合が8割を超えており、社会全体においても「いたちごっこ」「深刻化」と悲観的な見通しが9割近くに達しています。 また、最近その情報流出に拍車をかけているのが「ウィニー」に代表されるフリーのファイル交換ソフトの問題です。ネットワークセキュリティー会社ネット・エージェントの調査によると、現在このソフトを利用しているユーザーは5月現在50万台以上に達し、情報流出問題が表面化した後も減少していないことがわかりました。 企業やプロバイダーは社員やユーザーのウィニーの使用制限をかけるような対策を講じ始めていますが、プロバイダーによるウィニーの全面規制の手法が憲法の「通信の秘密」に抵触するおそれがある、との総務省の見解もあり、全面規制は難しいようです。なお、民間調査会社の試算によると、ネットワークの安全対策の市場規模は2004年は2756億円ですが、2006年は4230億円、10年には7390億円に膨らむ見込みとのことです。