高まる消費者の不安―食品・製品の安全性
内閣府は、平成20年版の「国民生活白書」を公表した。この中では、近年の消費者を取り巻く食品・製品の多様化・複雑化が消費者の意識に与える影響について取り上げられている。
食品偽装に代表される安全にかかる事案の増加に伴い、その不安が高まっているが、食品の安全性について「他の分野に比較して不安感が大きい」と回答している人は2004年の41.4%(最も不安感が大きい、比較的不安感が大きいと回答した人)から2008年10月で75.5%に高まっている(図1)。(2008年6月以前は食品安全委員会「食品安全モニター課題報告」、2008年10月は内閣府「国民生活モニター調査」による)
また、内閣府の調査で食品・製品の安全性を含め、身近な場における安全・安心について10年前と比べてどのように感じるか尋ねたところ、4割強が「以前と比べて悪くなった」と回答している(図2)。
こうした状況を受けて、我が国ではリスク回避行動として国産信仰が高まっており、加工食品について、生産・原材料ともに国産のものならば信頼できると答えている人は81.8%である一方、原材料に途上国のものを含む国産では12.0%に止まり、途上国で生産された輸入加工食品については信頼できるとした人は1.6%にすぎない。購入自体も、原材料も国産のものを買わなくなったり減らした人はわずか1.1%であるのに対して、途上国で生産された輸入加工食品については5割の人が、買わなくなったり減らしたりしている。(図3)